ColumnMaker 開発メモ

ここではColumnMaker開発に関わる技術情報などを紹介します。

逐次内容を追加していきます。

技術情報 ※HyperCardで開発を行いたい方のための、やや専門的な情報も含んでいます。



技術情報

プログラムの改良と機能追加

ColumnMakerの著作権は岩下・林が有しますが、このプログラムを取得した人は個人で使う範囲内において自由にこのプログラムを改良・機能追加する事ができます。

ただし、このプログラムのソースコードを読んだり修正したりする為には、製品版のHyperCardをお買い上げいただくか、HyperCardのユーザーレベル設定値を上げる必要があります。

HyperCardのユーザーレベルを上げ、実際に修正を加える方法についてはHyperCard School等を参照して下さい。


柱状図の作成と問題点

ColumnMakerは、非常に単純な作業で柱状図を作成します。「外形」ボタンのスクリプトを見て頂ければおわかり頂けると思いますが、長方形の積み木を上から下へ「積み下げる」だけです。一つ一つの長方形の四隅の点の座標を計算し、ラインツールのdrag命令で一本づつ外形線を描いていきます。その後「パターン」ボタンでは、一つ一つの積み木の片隅にバケツツールでクリックする事により、描かれた積み木に模様をつけていきます。

choose line tool
drag from (左上隅の座標) to (右上隅 の座標)
drag from (右上隅の座標) to (右下隅の座標)
・
・
積み木の外形を描くスクリプトの例


choose bucket tool
set pattern to (塗るパターン)
click at  (左隅の座標)+1, (上隅の座標)+1
積み木をパターンで塗りつぶすスクリプトの例


外形を描く上で問題になったのは、作図命令dragやclickなどでは小数を含む座標は受け付けない、という点です。具体的には、

 各ユニットの厚さ×層厚の倍率
の値で小数点以下を四捨五入して丸めなければなりません。従って小数点を持つユニットの数が非常に多い場合、完成した柱状図の累積誤差が大きくなる可能性があります。見積もられる誤差の最大値は、完成した柱状図上で
 小数点をもつユニットの数×0.17 (mm)
となります。これは全てが切り上げもしくは切り捨てされた場合の極端な場合で、実際にはこれよりも非常に小さい値となりますが、累積誤差をより少なくするためには入力する各ユニットの厚さの単位を工夫して小数点を持つユニットを少なくしたり、いくつかの岩相をまとめて大きな岩層ユニットを作りユニット数を少なくする事が有効です。

不整合関係を表す波線境界

ColumnMakerでは上下の岩層ユニット境界を波線にすることが可能ですが、これは単純なサインカーブに依っています。この波線の振幅及び周波数は、パラメータフィールドによりカスタマイズが可能です

ただし、波線で削る/削り込まれる岩層の厚さは、必ず波線の振幅を超えていなければなりません。現在の所、一本の波線で複数の岩層ユニットを削る/削り込ませる機能は実現していません。


グラフ機能

グラフ機能は、一般的に微古生物学分野で使われるようなグラフを実現しています。

微古生物学の分野における数量データは、産出頻度変化等、正の値に限定されるようなデータが多く、現在の折線グラフ機能は正の数量データのみ表示可能となっています。データに負の数を含む場合は正しく表示されないのでご注意下さい。

ただしこれについては、主成分得点や主成分負荷量等、負の値をもつ数量データも微古生物学の分野では広く使われている事から、以降のバージョンで負の数を含んだ折線グラフ機能も実現していきたいと考えています。


未検討試料を表す点線

ColumnMakerでは柱状図上のサンプル位置を示す線として、実線と点線の両方が表示されます(表示させない事もできます)。点線はその間隔についてカスタマイズが可能です。

この点線は、サインカーブを標準化して四捨五入することにより実現しています。パラメータフィールドに描かれる「点線の間隔」は、このサインカーブの周波数なのです。

ただし、四捨五入する事により各点線の開始位置や終了位置の座標値には誤差が蓄積され、点線には少々のムラがでますのでご了承下さい。サンプル位置を示す線は後からドローソフト等で書き加えた方が美しく仕上がると思います。


産出状況グラフとその高速化

ColumnMakerではA(Abundant), C(Common), R(Rare),F( Few)等の相対的な産出頻度を表すグラフを、太さの違う線によって実現しています。それぞれの試料の存在度がAなら太い線、以降順次階級が小さくなる毎に細い線を用いて、有意な試料の中点同士を結んでいます。これは微化石の頻度変化を図示するのに一般的に使われている形式です。

古いバージョン(V1.00)ではこの図を書くためにわざわざ四隅の座標を指定して四角形を描き、塗りつぶす作業を行っていました。この為に作図に時間がかかるだけでなく、特にFewを示す細い線の所で塗り残しができるといった問題点がありました。V.1.01からlineツールの太さ指定だけで描くようになり、これらの問題点は一応解決しました。


参考資料



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